天皇問答

6月17日(火)
奥泉光+原武史『天皇問答』(河出新書)読了。
作家の奥泉光と、明治学院大学名誉教授の原武史が、明治以降の天皇の実像と、国民の天皇観の変化を語る。
明治維新まで、国民は天皇を意識してなかった。
明治政府は富国強兵のために天皇を利用し、天皇の神格化とその国民への普及につとめる。
日清戦争・日露戦争の勝利により、普及は大きく進み、明治末年にはほぼ完成する。
インテリ層は「天皇機関説」だったが、国民は天皇を「生き神」「現人神」と信じた。
その暴走が2・26事件に繋がり、日中戦争、太平洋戦争へと発展していった。
敗戦後も、国民の天皇に対する尊崇の念は変わらなかった。
作者の2人は天皇制に批判的で、本書の最後で「天皇制は廃止するべき」と言う。
そういう2人の対談本なので、歴代天皇に対する見方は非常にシビアだが、だからこそ事実がかわり、とてもタメになった。
この記事へのコメント