私の盲端
7月8日(火)
朝比奈秋『私の盲端』(朝日新聞出版)読了。
比奈本涼子は21歳の大学生で、料理店「橙」でバイト中。
ある日、「橙」で大量下血して倒れ、病院に搬送され、幸い命はとりとめたものの、大腸の一部を切除したため、再手術まで人工肛門で暮らすことになる。
人工肛門による排便は、自分でコントロールできないため、気付かないうちにビニールパウチの中に排泄される。
授業中でも、食事中でも、たとえ性交の途中であっても‥‥。
朝比奈秋の第2作で、『私の盲端』と『塩の道』の2作を収録。
朝比奈秋は1981年、京都府生まれ。
2021年、消化器内科医として働きながら執筆した『塩の道』で第7回林芙美子文学賞を受賞してデビュー。
2023年、『植物少女』で第36回三島由紀夫賞を受賞。
同年、『あなたの燃える左手で』で第51回泉鏡花文学賞、第45回野間文芸新人賞を受賞。
2024年、『サンショウウオの四十九日』で第171回芥川龍之介賞を受賞。
華々しい経歴の持ち主だが、それだけ才能があるということだろう。
最初に読んだ『植物少女』も感心したが、『私の盲端』も見事だった。
人工肛門をつけた女子大生が主人公というのがもう凄い。
『塩の道』の主人公は、激務で燃え尽きた初老の医師。
どちらも医師にしか書けない設定だが、それだけで終わらない工夫がある。
お薦めです。
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