この世にたやすい仕事はない
9月12日(金)
津村記久子『この世にたやすい仕事はない』(日本経済新聞社出版)読了。
「私」は大学卒業後14年間続けてきた仕事を燃え尽き症候群で退職し、実家に戻る。
職業紹介所を訪れ、「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事をしたい」と言う。
「正門」という初老の女性相談員に紹介された仕事は、隠しカメラを使った小説家の監視だった‥‥。
津村記久子氏の本を読むのはこれが9冊目。
2015年度芸術選奨新人賞文学部門受賞作。
主人公が就く5つのちょっと変わった仕事を描く連作短編集。
上記は一つ目の「隠しカメラを使った小説家の監視」だが、他にも、
〇巡回バスのアナウンスで使用される地元の商店の宣伝文作り。
〇お菓子の袋の裏のウンチク話の原稿作り。
〇交通安全・緑化・節水などのポスターを貼ってくれている民家を回って、新しいポスターと交換。
〇大きな森林公園の奥の小さな小屋で周囲の見回り。
主人公はどの仕事もそつなくこなすが、様々な事情で辞めることになり、次の仕事を探しに職業紹介所へ行く。
いわゆるお仕事小説だが、人間ドラマは特になく、淡々としていて、ちょっぴりユーモラス。
特に「お菓子の袋の裏のウンチク話の原稿作り」はおもしろかった。
2017年4月に、NHKBSプレミアムで、真野恵里菜主演によりテレビドラマ化された(僕は未見)。
他の出演者は、塚本高史、浅野温子、高橋ひとみなど。
お薦めです。
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